関東近県のさまざまなエリアを、いまいちど見直し、巡ってみようかという趣旨のもとで企画スタートした「近郊エリアで学ぶ山歩き」シリーズ。その日光エリア編として奥日光の定番人気コース、「湯元温泉から刈込湖~切込湖~光徳」を歩きました。
 ここ刈込湖・切込湖は、三岳(みつだけ、1945m)噴火の溶岩流により堰き止められてできた小湖で、実際には水路でつながったひとつの湖です。一大観光地である湯本温泉や戦場ヶ原周辺に隣接しながらも、三岳や於呂倶羅山(おろくらやま、2020m)に守られ、隔絶感さえ漂わせてひっそりとたたずんでいます。「日光開山の勝道上人が成敗した大蛇を、切り殺してこの湖に沈めた・・・」とか、「男体山の神である大蛇と、赤城山の神であり大ムカデとが争い、それに勝った大蛇が、大ムカデの胴と足を刈って投げ込んだ・・・」んだとか。そんな伝説が、「いかにも」という神秘的な地ですね。

おおかたのガイドブックでは「初心者向き」として紹介される本コースですが、随所に登り下りもあって、思った以上に「しっかり」と歩きます。火山噴火の産物ですから当然、岩がゴロゴロとした路面箇所も多くあります。山慣れた”初心者”?(初心者とはいいませんかね)向きのコースでしょうね。
多くの方がコースタイトルにある「刈込湖~切込湖」を主たる楽しみに訪ねるのでしょうが今回、これに並ぶ(しのぐ?)見所として見直し、その景観を堪能したのが涸沼です。開放的な原に黄金に輝くカラマツが点在し、背にする於呂倶羅山と山王帽子山(2077m)は、針葉樹の緑を基調にしながらも、赤や黄のみごとなモザイク模様を見せてくれます。ご一緒した皆さんからは「日本離れしているわね」「カナダあたりとかね」なんていう感嘆の声があがっていました。
快晴。紅葉もちょうどうよし。「よい秋の一日だったな~」と、湯本温泉のにごり湯でこの山行を締めたのでした。
(★10月19日現在、ここのところの雨と低温で、戦場ヶ原あたりは雪となっているようです。日光方面の山行を計画されている方は、現地問合せで最新情報を入手し、万全の装備と無理のない計画を考えましょう。)

秋色のモザイク模様(小峠付近)

カツラの葉のじゅうたん。あたりに甘い香りが漂います

ハウチワカエデの紅葉(小峠付近で)

刈込湖。背後に於呂倶羅山、右手奥に山王帽子山

山王帽子山を正面に見て、明るい涸沼の南縁を進む